強制保険では重過失があった場合だけ過失相殺がなされる

自動車保険には、車の所有者が必ず加入を義務付けられている強制保険(自賠責保険)と任意保険がある。過失相殺は、このいずれの保険の場合にも行われる。

ただ、強制保険は被害者保護の見地から設けられた保険であること、査定が原則として書面審査(現場調査などをしない)だけで処理されることから、過失相殺の適用については、被害者に重大な過失がある場合に限られる。

強制保険についての過失相殺は、死亡事故の場合には、被害者の過失の程度に応じて、20%、30%、50%の三段階の減額率に限定し、また傷害事故の場合には、20%の減額率だけとしている。

被害者が強制保険で重過失ありと認定されるのは、①信号無視の横断をしていた場合、②道路標識等で横断が禁止されている場所での横断していた場合、③泥酔等で路上に寝ていた場合、④信号を無視し交差点に進入し衝突した場合、⑤センターラインを越えて衝突した場合等。